ブログ / 発注側のための知識
要件が固まる前に、発注側が用意できる4つの数字
固まらないから困っている、というのが実際のところです。固める前に決められること、決めなくていいこと、決めると後で高くつくことを分けます。
固まらないから困っている、というのが実際のところです。固める前に決められること、決めなくていいこと、決めると後で高くつくことを分けます。
システムの知識が無くても、社内で出せる材料があります。それが4つの数字です。この4つがあると、要件が固まっていない段階でも見積もりの話に入れます。
前提
想定しているのは、社内に情報システム部門を持たない会社です。何かを作りたいとは思っているものの、何をどこまで作るかは決まっていない段階を前提にします。
見積もりを依頼したら「要件を固めてから」と言われて止まっている。そういう状況を想定しています。
決めなくていいこと
画面の見た目、ボタンの位置、文言。ここは後から変えられます。
先に決めても、作っている途中でたいてい変わります。実際に触ってみて初めて「この位置だと押しにくい」と分かるからです。
使う技術も、発注する側が決めなくて構いません。
指定すると選択肢が狭まり、かえって高くつくことがあります。詳しい方が社内にいて、あとで自分たちで手を入れる予定がある。そういう理由があるときだけ指定すれば足ります。
いま決められる4つのこと
決められるのは、業務の側です。ここは今日でも書けます。
その仕事を、いま誰が担当しているか。専任か、兼任か。何人で回しているか。
ここが分かると、置き換えたときに誰の仕事が変わるかが見えます。関わる人が多いほど、移行に時間がかかります。
1件を処理するのに何分かかっているか。
測っていない場合は、1日の件数と、その作業に使っている時間から割り出せます。正確でなくて構いません。5分なのか30分なのかが分かれば十分です。
月間の件数です。繁忙期と閑散期で差があるなら、その両方を出します。
件数は、作るものの規模を決めます。月10件と月1000件では、必要な仕組みがまったく違います。
間違いが起きたとき、誰がどうやって気づくか。
気づく仕組みが無い場合は、そこがいちばん危ない場所です。実際、自動化して初めて、それまで通っていた入力の誤りが表に出てきた例があります。
この4つは、システムの知識がなくても社内で答えが出せます。そして見積もりの精度をいちばん大きく左右します。
決済の入れ替えでも同じでした。替えるのは支払いの入口だけに見えます。ところが実際に手が要るのは、返金の締め日、キャンセルできる期間、領収書の出どころ。どれも業務の取り決めです。先に整理していただけると、見積もりの幅が縮みます。
決めると後で高くつくこと
「まずはこの機能だけ」と絞れば、そのときの金額は下がります。
ただ、絞った外側とつながる部分が後から出てくると、作り直しです。しかも、作り直しは最初から作るより高くつきます。すでにある部分に合わせる必要があるからです。
狭く切るなら、切った境目に何がぶら下がっているかを一緒に確認してください。
たとえば受注だけを作って請求を外す場合、請求のために必要な情報を受注の側で持っておくかどうかで、あとの手間が変わります。この確認は、切る前にしかできません。
見積もりが幅を持つのは、隠しているからではない
要件が固まっていない段階の見積もりには、必ず幅が出ます。手間に対して金額を出すからです。何を作るかが決まらなければ、手間も決まりません。
金額表を出さないのは、高いのを隠しているからではありません。作るものによって手間が変わるので、先に伺わないと出しようがない、というだけです。
先に論点を整理したほうが、結果として早く正確になります。相談だけの段階でお受けしているのは、そのためです。
このとき、こちらから聞くのは上の4つです。答えが用意されていれば、その場で概算まで出せます。
4つの数字を、どう書き出すか
用意するのは、A4で1枚です。長い資料は要りません。
作業の名前、担当、1件あたりの時間、月間の件数、間違いへの気づき方。この5つの列を並べて、対象の作業を数行書きます。
1つの作業だけを書くより、思いつく作業を5つほど並べたほうが役に立ちます。
時間と件数を掛ければ、月にどれだけ取られているかが出ます。数字が並ぶと、どれから手をつけるかが自然に決まります。
実際、並べてみたら本命だと思っていた作業より、地味な集計作業のほうが時間を食っていた、という例がありました。
すべて埋める必要はありません。
分からない欄は空けたまま持ってきていただいて構いません。空いている場所そのものが、確認すべき点として使えます。埋めるために調べる時間を先に使うより、空欄のまま相談に入るほうが早いこともあります。
まとめ
要件が固まらないのは、発注する側の準備不足ではありません。何を決めればいいかが分からないだけです。
決めなくていいのは見た目と技術。決められるのは、誰が・何分で・何件を・どう確認しているか。高くつくのは、境目を確かめずに範囲を狭く切ることです。
上に挙げた4つの質問に、社内で答えを書いてみてください。この4行があれば、要件が固まっていなくても見積もりの話に入れます。
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