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AI導入の相談で最初に聞く3つの質問と、その答えの出し方
AIを入れたいというご相談で、最初に聞くのは製品名ではありません。いま何に時間を取られているか、その作業に決まりがあるか、間違えたら誰が困るか。この3つです。
AIを入れたいというご相談で、最初に聞くのは製品名ではありません。いま何に時間を取られているか、その作業に決まりがあるか、間違えたら誰が困るか。この3つです。
どれもシステムの知識なしに社内で答えが出せます。そして、この3つが埋まっているかどうかで、その後の進み方が大きく変わります。埋まっていれば初回の打ち合わせで「では、この作業から始めましょう」まで進みます。埋まっていなければ、その打ち合わせは現状を聞くだけで終わります。
この記事では、3つの質問それぞれについて、なぜ聞くのか、どう答えを出すのか、答えが出ないときはどうするかを書きます。
前提
想定しているのは、情報システム部門を持たない会社です。社内でいちばんパソコンに詳しい方が、担当としてAIの検討を任されている。そういう状況を前提にしています。
特定の製品を使う前提も置きません。文章を書かせる道具でも、社内の問い合わせに答えさせる道具でも、この3つを先に決める点は同じです。
質問1 何に時間を取られているかを、時間で答えられるか
「効率化したい」だけでは動けません。月に何時間かかっているかを聞きます。
数字が出てこない作業は、たいてい自動にしても効果が測れません。測れないと、続けるかどうかの判断もできなくなります。かけた費用に見合っているかを、あとから誰も言えない状態になるからです。
ある会社では、検索順位のデータを毎週スプレッドシートに書き写していました。1回あたり5分から10分。500行です。少なく見えますが、毎週続きます。
こういう作業は、最初の題材に向いています。効果がその日のうちに出るからです。1回目で「5分が30秒になった」と分かると、次に何を任せるかの話が自然に出てきます。
逆に、最初から大きな仕組みを狙うと、動くまでに数か月かかります。その間、社内には何も戻りません。話が止まるのはたいていここです。
作業の回数から入ります。1日に何回やっているか、1週間に何件あるか。回数が分かれば、1回あたりの時間はストップウォッチで測れます。
「だいたい毎日」で止まっている作業は、実は毎日ではないことが多いものです。数えると3日に1回だった、ということがよくあります。この確認だけでも優先順位が変わります。
もうひとつの測り方は、締め日から逆算する方法です。月末の3日間だけ残業が発生している会社なら、その3日間に何をしているかを書き出せば、対象はすぐに絞れます。
時間の長い作業が、必ずしも最初の題材に向くわけではありません。選ぶ基準は3つあります。
毎週または毎日繰り返していること。手順が決まっていること。そして、間違えても大きな事故にならないこと。この3つがそろう作業から始めると、失敗しても取り返しがつきます。
質問2 その作業に、決まりがあるか
決まりが文章になっていれば、たいていAIに任せられます。決まりが人の頭の中にしかない場合は、先にそれを書き出すところから始めます。
商品登録のご相談がそうでした。どの項目にどう入れるかのルールは存在していたのに、手引きが無く、記憶で運用されていたのです。担当が1名から2名に増えた時点で、引き継げないと分かりました。
このとき起きるのは、同じ商品でも登録する人によって内容が変わることです。どちらが正しいかを判断する基準も無いので、間違いに気づけません。
AIの話に入る前に、何が決まっているのかを外へ出す作業になります。ここを飛ばして「よしなにやって」と頼むと、AIは自分で決まりを作ります。その決まりが社内の運用と違っていても、誰も気づきません。
完璧な手引きを目指すと終わりません。実際にできあがっている完成品を並べて、そこから決まりを逆に読み取る形が早いです。
「この項目には必ずこれが入っている」「この場合だけ空欄になっている」。完成品が数十件もあれば、決まりはかなりの精度で見えてきます。
この方法の良いところは、議論が要らないことです。正しい形をこれから決めようとすると、関係者の意見が割れて数か月かかります。すでに世に出ているものを正解として扱えば、その議論を飛ばせます。
質問3 間違えたら、誰が困るか
ここが線引きになります。社内の集計なら、間違いは後から直せます。お客様に届くもの、お金が動くものは別です。
AIに判断そのものを任せると、なぜその結論になったのかを説明できなくなります。結論も毎回ぶれます。お客様から「なぜこうなったのか」と聞かれたとき、答えられません。
そこで、判断は決まったルールが行い、AIは結果を人が読める文章にするところだけを担当する、という分け方をよく使います。数字には触らせません。
この形にすると、あとから確かめられます。実際、しばらく動かしてから判断のルールを見直したところ、結果に関係していなかった項目や、思っていたのと逆に効いていた項目が見つかりました。ルールが外に出ていたから気づけたことです。
文章を書き換える、要約する、形式を揃える、下書きを作る。この種類は任せて構いません。人が最後に目を通す前提であれば、間違いは手前で止まります。
一方で、金額を計算する、在庫を確定する、お客様への回答を最終決定する。ここは決まったルールに任せます。同じ入力なら同じ結果が出る必要があるからです。
判断に迷ったときは、その作業の結果を誰が見るかで考えます。社内で完結するなら任せてよい。社外に出るなら、人が通る工程を残す。この基準で、たいていの作業は振り分けられます。
まとめ
3つの質問は、いずれも社内で答えが出せます。
何に時間を取られているかは、回数を数えれば測れます。決まりがあるかは、完成品から逆に読み取れます。間違えたら誰が困るかは、結果を誰が見るかで判断できます。
この3つが埋まっていると、相談の中身が変わります。現状を聞く時間が要らなくなり、最初の打ち合わせから「どの作業を、どういう形で任せるか」の話に入れます。
いま繰り返している作業を1つ選んで、月に何時間かかっているかを数えてみてください。その数字がひとつあるだけで、次の一歩が具体になります。
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